安岡漁港漁師が風力反対陳情・'14/9/24

   安岡漁港
   安岡漁港

地元安岡漁港の漁民が風力反対を訴える

 

下関市の安岡沖洋上風力発電の建設予定地に漁業権を持っている山口県漁協ひびき支店(旧安岡漁協)の漁師たち10人は、24日、同支店の正組合員48人中47人文の署名・捺印を添えて、中尾市長に対して風力発電建設に反対を表明するよう求める陳情を行った。

 

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【陳 情 書】

 私たちは、先祖代々安岡の海の恵みを受ける漁業関係者です。この安岡の海に、下関とは縁もゆかりもない東京の一企業が、営利目的で洋上風力発電施設を建設しようとしています。なぜ先祖代々受け継いできた安岡の海を明け渡さなければならないのか。私たち漁師は日々苦しんでいます。

 洋上風車ができれば、海流・波浪の状況が激変し海底や海岸は荒らされ、風車のオイル漏れやタービンの事故で海面は汚染されることになります。洋上風車群は安岡の海岸から1~2キロ離す計画ですが、我々漁師にとって海上での1~2キロという距離はあまりにも近く、安岡漁港からならば漁船でわずか1~2分の距離で、いわば我が家の庭先ほどに近いのです。

洋上風車ができれば、風車の支柱によって、漁のための自由な航行が妨げられるばかりか、荒天時には衝突の危険もあり、夜間の衝突も考えなければなりません。安岡あるいは吉見など周辺の漁師はつねに航行の危険と隣り合わせになるのです。

 洋上風車によって、昔から慣れ親しんだ安岡の海況は一変します。これは、世代を超えて継承してきた漁が出来なくなることを意味します。洋上風車は、安岡の漁師の生業であるタコ漁やウニ・アワビ・サザエなどの海産物に深刻な影響を与えます。

 タコ漁は早朝まだ暗いうちから海に出て行います。タコつぼの仕掛けは、一本約1,000mで、タコつぼは10m間隔で付けられるので、一度に約100個のタコつぼを船上に引き上げます。このため洋上風車群の周辺では細かい作業はできず、その上非常に危険な操船を強いられますので、これまでのような漁は出来なくなります。まさに我々漁師にとっては死活問題です。

 先月、安岡自治連合会は、31自治会のうち25自治会の建設反対をもって風車建設反対の決議を行い、同時にその旨を前田建設工業に通告しました。なかでも我々漁師の多くが居住する西安岡・安岡本町・安岡東町では住人の約8割が建設に反対しています。

 この地域のゆるぎない「誇り・魅力・財産」である“自然・景観・海産物”・“住民”・“地域”が、一企業の利益目的のためだけに存続の危機に直面しています。どうか、故郷のゆるぎない「誇り・魅力・財産」を奪わないでください。

 この土地を、故郷のゆるぎない「誇り・魅力・財産」を、まだ見ぬ次の世代に受け渡していけるように、私たちは建設反対に全身全霊を尽くします。

以上の懸念を持ちますので、安岡漁港漁師一同は以下に陳情いたします。

 

陳情事項

(1)市長は安岡沖洋上風力発電の建設に直ちに反対を表明すること。



長門市抄棒受網組合反対要望書提出・'14/12/5

--安岡沖洋上風力発電建設反対・市域こえ行動拡大--

 下関市の安岡沖洋上風力発電建設事業(事業者・前田建設工業)をめぐって、下関市内で建設反対世論が同地域を先頭に、さまざまな地域・職域に広がっているなかで、5日、安岡沖で抄網・棒網受漁を操業する長門市の漁業者が下関市役所を訪れ、約200人分の反対署名と中尾友昭下関市長に同建設計画に反対表明するよう求める要望書を提出した。

   長門市抄棒受網組合を構成する漁港位置図
   長門市抄棒受網組合を構成する漁港位置図

洋上風車反対要望書の提出

  この日要望書を持って下関市役所を訪れたのは、山口ながと抄棒受網組合の代表3名の漁師。「12月議会開催中のため」、中尾市長も副市長も対応できず、砂原環境部長が対応した。長門の漁師は、安岡沖洋上風力発電建設が計画されている場所は、「イワシがとれる好漁場」であり、操業する日が年間にして多くあること、同組合の35隻・100名余が従来より操業しているとのべたうえで、「角島とも協議した結果、安岡の漁師も反対しているが、相当な影響があるだろうから反対署名をしようということになった。私たちとしてもつくってもらいたくない。だから棒受組合としても反対署名をしようではないかと署名を集めた」といい、約200名の反対署名と要望書を環境部長に手渡した。

 

漁師たちの意見:海破壊すれば元には戻らぬ

  署名をしたあと、漁師たちから意見が述べられた。「海で生活する者にとっては、高さ100㍍もの風力発電の設置によって海が破壊される可能性は多分にあると思う。護岸工事などをおこなうと間違いなく影響があった。そういうことを考慮して、やめてほしいという全組合員の総意できた。新聞などを見ても、安岡の漁師さんたちもかなりの割合で建設に反対しているようだ」といった。

     抄棒受網漁一般図
     抄棒受網漁一般図

 別の漁師は、「私たちは棒受網のほかにも抄網というのをやっている。これは県知事許可で距離1,000㍍までの海域に入れる。棒受網は2,000㍍だが、そのなかに風力発電が建つということだ。当然共同漁業権のなかにひっかかってくる。ここは一番イワシが滞留するところで、これまで何億という水揚高を持って帰っている。瀬戸内海や別府湾から来たシラスが滞留するところだ。ご存じか知らないが、下関の南風泊にも私たちと同じ商売をしている漁師がいるが、かつて南風泊には棒受網業者が20隻おり加工屋も6軒ほどあった。私の先祖も山口県知事から福岡県知事の許可まで得て入漁料を払って操業していた。それが白島の備蓄基地ができてから衰退し、南風泊には現在1隻視界なくなった。このうえに人工島ができた。そのときも“問題ない”といったが、潮の流れ、濁り等々で魚はつかなくなった。それに追い打ちをかけるように今度は安岡の大事な海に風力発電を15基も20基も建てるのか。20年間海を貸して、その後に現状復旧させるといっているが、そんな子ども騙しのようなことを企業がいっても信用しない。一回やると海は永久に返ってこない」と強くのべた。

 

「なぜ私たちが下関まで来てこんなことをいうかというと。かつて下関の各浜には棒受網の漁師がいてずいぶん水揚げがあったと思う。それが海の岸壁などができるたびに魚がつかなくなる、とうとう現在この有様だ。だから私たちは反対している」と語った。